集熱

集熱は「直接取得」と「間接取得」に分類されます。パッシブデザインでは「温室効果」の原理で集熱します。地球温暖化の原因も温室効果ですが、地球の場合「温室効果ガス」がビニルハウスのビニルやガラスのように、太陽光の長波長成分を取り入れて外に出さないことによって気温を上昇させています。よく晴れた日の駐車場で太陽の直射光を集熱した自動車の中がとんでもなく暑くなるのと同じ原理です。過剰集熱はオーバーヒートを引き起こします。プレアデザインでは、全国842地点の気象データで、空気集熱をシミュレーションしています。

「パッシブソーラーハウスの設計技法」小玉佑一郎:訳 エドワード・マツリア P.15

太陽高度角

「パッシブソーラーハウスの設計技法」小玉佑一郎:訳 エドワード・マツリア P.7

太陽熱取得(太陽熱暖房)をしたい時期の太陽高度角は計画地の緯度がわかれば計算できます。マリツアのイラストでも解るように、太陽光の入射角度によって受けるエネルギー量が決まります。南向き4~5寸の傾斜屋根面の法線は、北緯37°~38°地域の冬の太陽光に近い角度になるので効率の良い集熱が期待できます。また、陸屋根の場合、太陽高度角が高くなる夏の日射を垂直に近い角度で受け止めることになるので、傾斜屋根面よりも多く集熱することになって夏に暑くなります。

直接取得

「パッシブソーラーハウスの設計技法」小玉佑一郎:訳 エドワード・マツリア P.19

直接取得「ダイレクトゲイン」は、南側の窓を通して取得されます。このときに太陽高度角が重要です。エドワード・マツリアの「パッシブソーラーハウスの設計技法」では、太陽高度角が低く、南鉛直面での日射取得が効率の良い USA の高緯度地域の事例が多く、北緯37°~38°地域では傾斜面日射量の方が多く、傾斜屋根面での日射取得が有利です。

間接取得

「パッシブソーラーハウスの設計技法」小玉佑一郎:訳 エドワード・マツリア P.32

 

トロンブウオールも間接取得です。しかしこれらの事例では、南面の主開口部に蓄熱体を装置することになるので、東南~南向きの眺望を主開口部として計画する日本の住まいにはなかなかフィットしない手法です。また住宅地で、太陽高度角の低くなる冬に、南側の垂直面に何の障害もなく直射光が差し込むような敷地はあまりないので難しい手法と言えます。

太陽光の受光に何の障害もなく、室内からの眺望の要求がない計画では、南側垂直面を集熱面にすることができます。半地下のバレエアトリエの南壁面をトロンブウオールにしたことがありますが、北緯37°~38°地域では傾斜面日射量の方が多く、傾斜屋根面での日射取得が有利です。

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