現行の日本の省エネ基準には気密に係る定量的基準が削除されてありません。しかし、全棟気密測定を実施して、その性能を売りにしているメーカーは複数あります。省エネの前提として建物の気密性能は大切ですが、現状は、気密性能の重要性を知りそれを担保することができるメーカーと、そうでないメーカーと二極化していると僕は見ています。
従来の気密測定器は大きく、重く、設置もたいへんなモノでした。また測定器が大型なため、大きな開口部を測定口に使用することが多く、測定口周辺はテープで気密シールをするため、測定口になっている窓の気密性能は評価していないことになります。
東北工業大学に設置されたプレアデザイン研究所では、その気密速敵機の小型化に関する研究開発がなされており、2022年に、小型気密測定器が完成しています。測定器の小型化を促進した開発は、小口径 107mmΦの整流風洞の完成と、直流ファンの導入でした。ピトー管を装備した整流風洞は、EOM株式会社、直流ファンの組み込みは、株式会社馬渕工業所が協力、担当しています。
小型気密測定器は、測定の現場を変えました、床面が気密境界になっている 2×4構法では、床下は外部空間になっているので、床下点検口を測定口にして、全ての開口部を気密測定の評価対象にしています。また、木ぞ断熱構法では、床下は室内ですので、床下点検口は測定に使えないため、小窓を使って計測しています。
2019~2020にかけて実施された試験計測結果は、日本建築学会で発表しました。JISに定められる気密測定方法は、目張りをして測定する、「その1」と目張りなしの「その2」があります。目張りをして計測するのは、箱の気密性能ですが、実際の生活環境下での自然換気回数を評価するものではないため、われわれは「JISその2」計測で、実際に住まう環境の気密性能を評価しています。
厨房の換気設備は、住宅の高気密化と同時に、吸排気同時運転のものに切り替わっています。また、局所換気システムも、動作しないときはシャッターで開口部を閉じる製品が多く、我々が実施している「JISその2」計測では、24時間換気システムを停止、厨房換気扇も停止してその状態で計測しています。トップランナーの建てる住宅では、「JISその2」計測でもその平均値は、C値=1.0 (㎠/㎡)を切っています。