HOW BUILDINGS LEARN What Happens After They’re Built は、「Whole Earth Catalog」(全地球カタログ)の編集者、スチュワート・ブラウンの著書です。「Whole Earth Catalog」は、ヒッピー・コミューンを支えるための情報や商品が掲載されてた、今のインターネットのような役割を果たしたヒッピー向けの雑誌で、1968年に、スチュアート・ブランドによって創刊されました。創刊号の表紙は、1966年にブランドが起こした運動が功を奏してNASAから発表された、宇宙に浮かぶ地球の写真で、1974年に、『Stay hungry. Stay foolish.(ずっと無謀で)』という言葉を裏表紙に飾って廃刊しました。「Stay hungry. Stay foolish」は、スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式の式辞で、卒業生に贈る言葉として紹介した言葉です。その時のビデオが公開されています。
上から、
STUFF は 中味のアンコ、詰め物
SPACE PLAN は インテリアの空間計画
SERVICE は、給排水衛生設備。電気設備・空調
SKIN は「皮」この場合は建物の外皮
STRUCTURE は構造、柱や梁など建物の「骨」
SITE は 敷地とその土地の気候風土
その方法化が「長期優良住宅」のメンテナンスの要諦をなすものとしてぼくが常々引用するのは、スチュワート・ブランドの「建築は6つのSで構成される」という図です。6つの層とは、図に見るように SITE(土地)、STRUCTURE(構造)、SKIN(外装)、SERVICE(設備)、SPACEPLAN(空間設計)、STAFF(家具調度)を言います。6つの層の線の太さは堅固さ、長さはそれぞれメンテナンスを要する時間を表しています。
建築で寿命の異なる STRUCTURE(構造)と SERVICE(設備)を分離することは、長期優良住宅でも求められていることですが、プレアデザインはそこをデザインします。僕の設計では、スイッチもコンセントも、室内側の電気配線は総て露出しています。通線は構造材を痛めることなく、断熱材を欠損することなく露出配線しています。
最も重要なのは、最も太い線で示され、唯一ベクトル表示になっていない「SITE」です。土地・敷地・計画地…と、様々な呼び方がありますが、その土地の気候風土も含めて、地球上にそこしかないかけがえのない場所としての「SITE」は、建築よりもはるかに長い時間をそこで過ごしてきた自然です。そこに吹く風、そこから見える景色も、世界で唯一そこにしかない個性なのです。
パッシブデザインでは、その土地のポテンシャルを分析します。そこにしかないものに着目して、そこでしかできない空間を切り取ります。