施主は東京から陸前高田市に移住して歯科医院を経営する、ロードレースのシニアチャンピオンです。三陸サイクルロードレースのゴール近くに敷地を求め、パッシブソーラーの歯科医院を計画しました。太陽熱空気集熱は、南傾斜屋根面とそれを使う空間でデザインされます。要求された診療台は3台、その他、歯科技工士の作業室、レントゲン室、職員休憩所などで構成される空間に集熱屋根を計画するスタディは模型で進めました。
住宅と違って、日中しか使用しない空間の場合、夜間の快適さよりも、日中の快適さが求められます。夏のクーリングモードでは、夜の間に、外気を放射冷却で冷やして室内に取り込みます。日中は日射遮蔽を心掛け、暑さと熱気の侵入から診察室を守ります。冬のヒーティングモードでは、日中オーバーヒートしない範囲で太陽熱を間接取得します。
室の内空気を暖めたり冷やしたりするのではなく、診察室の床面全体からの輻射熱で、寒くなく、暑くない室内気候を作ります。空気集熱は、暖かい空気を室内に取り入れますが、実はこの空気を使って屋根に当たる太陽熱を床下に運ぶ…というのが空気式太陽熱利用パッシブシステムの仕掛です。